飛鳥大仏の歴史的意義

飛鳥寺の飛鳥大仏(釈迦如来像)の調査

飛鳥寺に調査のお願いにうかがったのは2014年の2月だった。大雪のせいでお約束の時間に遅れ、大変焦りつつも飛鳥大仏調査のお願いをさせていただいた。その後、あらためて書面をお送りしてご検討いただき、同年5月に再度おうかがいした際に調査のご了解をいただいた。

2015年2月、まずはお像や堂内の状況を確認させていただく事前調査を行った。飛鳥寺は年中無休で拝観を受け付けておられるため、調査は繁忙期を避け、かつ一般拝観時間終了後に行わなければならない。そうした条件のもと、3次元計測、蛍光X線分析、X線回折、像内観察、写真撮影を行うべく、2度にわたって調査する計画を立てた。

同年8月19日の第1次調査では、体部の3次元計測、蛍光X線分析の予備調査を行い、第2次調査における足場の組み方について検討した。そして、翌2016年6月16・17日の第2次調査には総勢35名ほどが参加し、頭部等の調査のために足場を設営し、頭部を中心とする3次元計測、蛍光X線分析の本調査、X線回折、ファイバースコープ等による像内の観察、写真撮影を行った。

第2次調査で、足場を組んでいただいたのは日通のスペシャリスト佐々木さん、3次元計測は(株)アコード、X線回折は東京文化財研究所の早川泰弘さんと犬塚将英さん、像内の観察には美術院国宝修理所の八坂寿史さん、蛍光X線分析は韓国国立中央博物館の閔丙贊さん、朴鶴洙さん等にご協力いただいた。そして何より、両日とも深夜2時頃までの調査にお付き合いいただいたご住職植島寶照さまのご理解に感謝申し上げなければならない。

この調査を通じて、あらためて飛鳥大仏の歴史的意義が明らかとなり、また注目されることになった。その調査に参加した一人として、飛鳥大仏がその歴史的意義にふさわしく、一日も早く国宝に指定されることを切に願っている。




新西国三十三箇所第9番

飛鳥寺(鳥形山 安居院)

〒634-0103 奈良県高市郡明日香村飛鳥682